漢方短期実地研修

漢方医学教育 短期実地研修 支援事業

体験記 30名:2024.8.2現在

受講者
大学病院 漢方診療部            S・Mさん
研修先
富山大学附属病院
和漢診療科
コース・期間
「2~3日コース」
3日間
研修志望動機・学修内容・成果/感想・今後の取組み・これからの希望者へのアドバイスなど
私は、大学病院で漢方医学教育と臨床に携わる50代の医師です。今回、「富山大学で、どのように漢方教育と日常臨床を行い、漢方人材を育成しているのか」を知りたいと思い、研修させていただきました。学修内容は、午前が①輪読会、②病棟診察、③外来陪席、午後が、④教授回診、⑥漢方講義、⑦学生発表、⑧抄読会、⑨症例検討会などでした。8時からの輪読会では、湯本求真の「皇漢医学」を学生が音読後に、指導医が解説を行い、毎日違う教員が担当されていました。難解な内容を噛み砕いて板書形式で解説され、非常に勉強になる内容でした。8時30分からは入院患者の診察が行われ、主治医と指導医により治療方針が話し合われ、煎じ薬を用いた治療が行われていました。9時からの外来陪席では、貝沼茂三郎教授および藤本誠准教授外来に陪席させていただきました。医学生や専攻医と一緒に、舌診、脈診、腹診を行い、実際に診断した内容を口頭で述べ、その後、貝沼教授が診察し解説するという実践的なトレーニングでした。驚いたのは、学生に対して、ほぼ全患者の診察を行わせていることでした(しかも、楽しい雰囲気で!)。これにより、学生は実践的に診断技術を身に着けられ、非常に高い満足を感じ、漢方への愛着を深めていました。また、多くの診療科からの紹介患者が漢方外来を受診されており、各診療科との連携がしっかりなされていました。午後の漢方講義では、医師国家試験に出題された漢方の問題を解説していました。学生が事前に配布された問題の解答とその判断理由を述べた後、教員が解説をしていました。学生発表では、漢方に関連した研究発表が行われ、漢方関連の英語論文の抄読会も行われていました。木曜日の教授回診では、入院患者の治療方針の決定までのプロセスを学びました。回診前のカンファレンスでは、各専門領域出身の医師達が、西洋医学的検査の結果を踏まえ、西洋医学的観点と漢方医学的観点の両視点から病態診断に関する見解を述べ、活発な討論が行われていました。貝沼教授は、それらを集約し、患者診察を行った上で、総合診断を行い、漢方薬を決定していました。そこでは、西洋医学と漢方医学が高いレベルで融合した医療が実践されていました。また、富山大学には、和漢医薬学総合研究所があり、民族薬物資料館の見学もさせていただきました。世界中から収集された薬草や鉱物などが所狭しと展示され、施設職員の方から解説もしていただき、生薬の品質により香りや味が全く違うことも学びました。また、薬剤部では、煎じ薬の調剤を見学させていただきました。患者の状態に合わせて生薬の煎じ方が異なっていました。薬剤師が丁寧に煎じておられ、医薬連携が図られていました。最終日には、医局説明会に参加させていただき、和気あいあいとした雰囲気の中、たくさんの学生が集まってきており、漢方に対する興味を持つ学生がこれほど多いのかと驚きました。この度の研修では、充実した漢方教育と日常臨床が良い雰囲気の中で行われ、漢方人材を育成するシステムを直に見させていただきました。この度、研修で得た内容を、今後の教育と臨床に活かして行きたいと思います。貝沼教授を始め、多くの医局員の先生方、事務員の方には大変お世話になりました。この場をお借りして、お礼申し上げます。
受講者
地域中核病院 小児科            F・Nさん
研修先
福島県立医科大学
会津医療センター附属病院
コース・期間
「1~4週間コース」
5日間
研修志望動機・学修内容・成果/感想・今後の取組み・これからの希望者へのアドバイスなど
■研修志望動機:今まで独学で漢方を学び、内科外来を中心に漢方を活用していましたが、治療が上手くいかなかったときの次の選択肢に困ったり、脈診や腹診など独学では習得困難な内容も多かったため、入院治療・鍼灸治療なども行っている会津医療センターでの研修を希望致しました。
■学修内容:レクチャー、外来陪席、病棟回診見学、カンファレンス参加、朝の勉強会
■成果/感想/今後の取組み:四診のやり方を実臨床を通して教えていただいただけでなく、レクチャーも豊富で診察法及び処方選択など考え方の基礎を学ぶことができたと思います。また、難病指定患者や原因不明の重症患者など西洋医学的にも対応困難な患者のQOLが改善する様子を目の当たりにして、東洋医学の学習意欲が高まりました。
■これからの希望者へのアドバイス:『飯塚漢方カンファレンス』を事前に読んでおくと、レクチャーの内容など理解しやすくなるかと思います。
受講者
私立大学病院 総合診療            K・Sさん
研修先
福島県立医科大学
会津医療センター附属病院
コース・期間
「1週間コース」
4日間
研修志望動機・学修内容・成果/感想・今後の取組み・これからの希望者へのアドバイスなど
■研修志望動機:漢方薬は医師であれば誰でも気軽に処方できてしまうため、自分もなんとなく処方しては効果の有無に一喜一憂する日々であった。そんな現状を打破するべく、これまで漢方医学的な考え方や診察法について体系的かつ実践的に学ぶ機会に恵まれなかったため、実際のエキスパートによる臨床現場を体験したいと考え、研修を志望するに至った。
■学修内容:外来陪席、病棟回診、古典抄読会、指導医によるレクチャー、生薬調剤実習に参加することができた。知識を習得するための抄読会や網羅的なレクチャーに加えて、外来陪席および病棟回診では、指導医から漢方医学的な診察法、特に舌診、脈診、腹診について解説していただきながら、実際に自分でも所見をとり、フィードバックを受けた。また診察所見に合わせた漢方薬の処方についてもレクチャーいただいた。生薬調剤実習では、実物の生薬およびその加工過程を見学させていただき、病院における処方システムについて理解を深めた。
■成果/感想/今後の取組み:4日間という短い期間であったが、日々充実し、非常に大きな学びとなった。特に診察法については、本や動画を見るだけでは十分な学習といえず、実際に専門家が診療を行う現場に陪席しなければ真の学びを得ることはできないため、他に代えがたい有意義な時間となった。自分の漢方診療がいかに盲目的なものであったか理解するきっかけとなったため、これまで自分が処方していた漢方薬の内容を見直し、実際により適切な治療内容に変更していき、効果を実感している。また、今回学んだ内容を自施設の医局員にも共有し、漢方医学のリテラシー向上に貢献していきたい。
■これからの希望者へのアドバイス:濃密なレクチャーに、外来陪席、病棟回診、抄読会など、充実した時間を過ごすことができます。数日という短期間でも、研修したいポイントを絞り、あらかじめお伝えすれば、よきにはからっていただけるかもしれません。それほどスタッフのみなさまは優しく、教育熱心であり、とても素晴らしい環境でした。事前に漢方診療について本を読むなりある程度の勉強をしてから参加するとより理解が深まります。三潴忠道先生の「はじめての漢方診療ノート」は必読必携です。
受講者
国立大学病院 医療安全管理            K・Kさん
研修先
富山大学附属病院
和漢診療科
コース・期間
「2~3日コース」
2日間
研修志望動機・学修内容・成果/感想・今後の取組み・これからの希望者へのアドバイスなど
以下の研修目標をもとに研修受講を実施した。
【研修目標】
①漢方医学教育の実際の習得:本学医学部で学生対象に実施している東洋医学教育(※本学医学部では東洋医学・統合医学として講義を実施している)の在り方を、先進的な漢方医学教育を実践している富山大学附属病院和漢診療科の教育現場を見学することで、より充実したものとする。
②自身の診療技術向上:診療現場を体験することにより、自身の漢方医学診療技術の向上を図り後進の育成に役立てる。
③その他:医学部内または病院内における漢方医学の位置づけを参考とする。
【学習内容】
①学生教育に関して:“富山大学医学部卒業の先生方はどの診療科でも漢方医学的な病態を考えて処方ができる”との理念のもと、医学部2年生、3年生、4年生、5~6年生にかけて系統だった教育カリキュラムが構築され実施されていた。
②診療に関して:「望診」、「聞診」、「問診」、「切診」と基本に立ち返った診療方法を見直す契機となった。
③位置づけに関して:専門病棟を有していることもあり、他の診療科やメディカルスタッフにも“①”で示した理念が浸透していた。
【今後の取り組み】
①カリキュラムの見直し:系統だった順で講義内容の組み換え・追加実施することで、学生に解り易いカリキュラム(まずは講義内容のスケジュール)を見直す。必要に応じて、実際の診療場面での立会いや症例のディスカッションも行う。
②基本に忠実となるような診療姿勢の見直し:積極的に陪席も受け入れ自身の診療内容を振り返る。
③院内への活動:医学生や初期研修医対象の講演会や勉強会の実施、他の診療科からのコンサルテーションの受け入れ等を図っていく
【アドバイス等】他施設での取り組みを実際に経験することは、たとえ短期間であっても有益であると確信しました。特に教育方針の理念の理解は、実施研修しかえれないものがあります。
受講者
総合病院 皮膚科            T・Kさん
研修先
東京女子医科大学附属
東洋医学研究所
コース・期間
「月1回コース」
7日間
研修志望動機・学修内容・成果/感想・今後の取組み・これからの希望者へのアドバイスなど
 実臨床で漢方薬を活かしたいという思いが漠然とあったものの、患者さんに合ったものを処方する術がなく、実際に処方する機会がほぼない状態でした。西洋医学の専門研修に目処がついたのを機に漢方薬を学ぶ機会を探していたところ、こちらの研修プログラムを知りました。
 どの診察室でも、先生方は患者さんの話にしっかり耳を傾け、腹診や脈診・舌診なども加味し、その時々の体の変化・季節にも柔軟に対応した漢方薬を処方している様子がとても印象的でした。ここしばらくは西洋医学の細分化された専門研修に身を置いていたのもあり、一人の患者さんが患う様々な分野の症状に対して漢方薬が対応でき効果を発揮する様子がとても新鮮でした。
 また研修を通して、今までは漠然としていた自分が漢方薬に求めていたことの一つが“養生”であるということに気付くことができました。“疲れないように” “ストレスを貯めないように” “無理をしないように”と伝えるのみならず、それに個々の患者さんに合った漢方薬を添えることができたら、何て素晴らしいのだろうと感じました。
 今回の研修を通して、ますます漢方を学びたい気持ちが高まり、きちんと自信をもって使いこなせるようになりたいと、漢方専門医を目指す足掛かりとなる経験をすることができました。
受講者
一般病院 産婦人科            O・Eさん
研修先
近畿大学
東洋医学研究所
コース・期間
「2日コース」
2日間
研修志望動機・学修内容・成果/感想・今後の取組み・これからの希望者へのアドバイスなど
産婦人科では更年期や月経前症候群などの診療において漢方を処方を実施することがあるが、これまでの診療では“女性の3大漢方”を処方することが多く、今後の診療の幅を広げたいと考えたため、研修を希望しました。1日は自費診療での研修、もう一日は保険範囲内での診療について研修をしました。様々な症状の患者さんが来院されており、西洋医学的には説明がつかないような症状が出現している方もおられた。処方の変更等を行う際には、漢方処方について、それぞれの漢方のなかの生薬のひとつひとつの効能を丁寧に説明されていました。今後は自身でよく処方している漢方の中身をしっかり吟味したうえで、他の漢方の生薬にも目を向けて処方・診療の幅を広げていきたいと考えています。
受講者
一般病院 内科            N・Kさん
研修先
三重大学附属病院
漢方医学センター
コース・期間
「2~3日コース」
2日間
研修志望動機・学修内容・成果/感想・今後の取組み・これからの希望者へのアドバイスなど
■学習内容:初日の午前は初診外来に陪席しました。午後は研修医が初診外来患者の問診事項から、試行錯誤をしながら弁証をたてていくプロセス(漢方医学教育)を見学しました。夕方はカンファレンスに参加した後、指導医手作りの漢方教育資材(漢方ポーカー)を研修医と一緒に体験しました。2日目は再診外来に陪席をし、合間時間に疑問点などについて指導医と話し合いました。また研修医に外来の処方内容を説明し、わずかながらではありますが研修医教育を行いました。
■感想:初診外来では四診を通じて東洋医学的な病態が導かれるプロセスを目の当たりにしました。丁寧な診察・問診を受けることで患者の医師に対する信頼が高まっており、治療効果にも良い影響を与えるように感じました。再診外来では長くフォローしている患者さんが多く、エキス製剤だけでなく煎じ薬にも対応され、必要に応じて鍼灸師による治療も受けられるシステムができていました。漢方的なきめ細かい治療を通じて患者さんとの信頼関係が深く構築されているように感じました。また大学病院であることから医学教育も熱心に取り組まれていることも印象的でした。研修医に対する弁証論治の指導では、難しい東洋医学の基礎知識を分かりやすい言葉やたとえ話で伝えられており、研修医の理解の助けになっているように感じました。さらに「漢方ポーカー」といった教育資材の開発にも取り組まれており、堅苦しくなってしまいがちな東洋医学に、「楽しさ」「気楽さ」といった要素を取り入れていることが印象的でした。
■今後の取組み:東洋医学をわかりやすく伝える工夫をしていきたいと思います。漢方に興味のありそうな患者さんに対しては、たとえ話やスライドなどを使用して漢方的な世界観を伝えていきたい、と思います。また、現在は慌ただしい内科外来の合間に漢方を使用している状況なので、今後は週1回程度の漢方外来の設置に向けて働きかけができれば、と思っております。
受講者
公的病院 糖尿病内科            H・Kさん
研修先
近畿大学
東洋医学研究所
コース・期間
「2日コース」
2日間
研修志望動機・学修内容・成果/感想・今後の取組み・これからの希望者へのアドバイスなど
 これまで独学、我流で漢方診療を行っておりましたが、漢方処方が奏功しない例に遭遇した際の考え方、対応を学びたく研修を希望致しました。
 このたび近畿大学東洋医学研究所にて機会を与えていただき、診療を拝見するなかで外来での処方選択、生薬調整のポイントなど丁寧にご教示いただき大変有意義な時間を過ごすことができました。また、自由診療外来では普段目にすることができない生薬調合を見学でき貴重な経験が得られました。
 普段の外来では女性特有の症状への漢方処方を行う機会が少なくやや苦手意識がありましたが、東洋医学・西洋医学双方の観点からの経過確認、処方選択を教えて頂きました。今後は今回の研修で学んだことを生かし、より臨床を深めていけるよう研鑽、精進したいと考えております。
受講者
一般病院 小児漢方内科            M・Sさん
研修先
広島大学病院
漢方診療センター
コース・期間
「2~3日コース」
2日間
研修志望動機・学修内容・成果/感想・今後の取組み・これからの希望者へのアドバイスなど
今回の志望動機は、漢方薬の研究(大学院での研究内容)について知りたいと思い、申し込みました。広島大学漢方診療センターでは、漢方薬や鍼灸について複数の研究が行われておりました。漢方薬と鍼灸の治療を組み合わせ、より科学的な根拠を持って東洋医学を発展させていくための先生方の熱意を感じました。また留学生も多く、文化の違いを認めながらも東洋医学という同じ目標に向かって、高めあう雰囲気が素晴らしかったです。小川教授の外来では、経方医学において大変重要な脈診についてご教授頂きとても勉強になりました。病因病理の本質を捉えながら、処方を組み立てることで、複雑な病態に対しても再現性がある治療ができるのだと、改めて初心に戻りました。さらに、中田先生の医療マネジメントの講義は年次を重ねるごとにまた聞きたいと思うほど、医療の現場において欠かせない要素が沢山ありました。ベンチャー企業としての役割も担われている漢方診療センターのフィロソフィーを感じた次第です。今後の取り組みとしては、やはり現状のできることをコツコツと継続しながら、「アウトプット」する大切さを実感しました。症例報告を丁寧に行うことで症例集積に結びつき、1つの指針が出る。朝の輪読会でも「成就の秘訣はやり続けることにあり」と教えていただき、一歩一歩を積み重ねていこうと再度決意した次第です。お忙しい中丁寧にご教授頂きました小川教授、河原先生、中田先生、そして温かい教室の皆様に心から感謝申し上げます。本当にありがとうございました。
受講者
一般病院 リハビリテーション科            H・Yさん
研修先
広島大学病院
漢方診療センター
コース・期間
「2~3日コース」
2日間
研修志望動機・学修内容・成果/感想・今後の取組み・これからの希望者へのアドバイスなど
 日常診療の中で漢方薬を処方することも多いですが、「さらに診療の幅を広げたい」、「自信をもった漢方薬を処方したい」、と漢方薬処方をするたびに感じていました。また将来、漢方専門医を目指す上で、基礎となる漢方の知識や診察方法を体系的に習得したいと思うようになり、このたび広島大学病院漢方診療センターの研修に参加させて頂きました。
 漢方診療センターでは先生方が各診療科と協力し診療にあたる姿や、実臨床の中での四診を行う姿を拝見することが出来ました。また鍼灸師の方々と協力し、患者さんの治療に望める環境も大きな特色でした。大学病院ならではの施設も整っており、付属植物園で生薬や茘枝を見学できたのは貴重な体験でした。臨床のみならず研究も教室をあげて進めていく熱意も感じました。
 漢方診療を今後研修していくにあたり良い基礎骨格が形成できる環境であり、来年度から一緒に学ばさせて頂きたいと思うに至りました。指導教官はじめ教室スタッフの皆様方にも今回の研修で様々ご配慮頂き、ありがとうございました。話しやすい、風通しの良い教室なので、少しでも興味を持たれた方はぜひ一度見学に訪れてみてはいかがでしょうか。
受講者
国立大学病院 整形外科
A・Mさん
研修先
広島大学病院
漢方診療センター
コース・期間
「2~3日コース」
2日間
研修志望動機・学修内容・成果/感想・今後の取組み・これからの希望者へのアドバイスなど
 医学生時代から小川先生には金沢大学で実習や研修の指導をしていただいていましたが、整形外科専攻医として診療に従事している間は漢方の使用機会はまれで、学習も中断された状態となっていました。今回、整形外科として漢方を用いた診療を積極的に行っていくという計画が上がり、改めて漢方の勉強を始めるとともに外来陪席の機会をいただくため、研修をお願いいたしました。
 整形外科主体の病院での漢方外来、大学病院での漢方外来で陪席させていただき、漢方治療が奏効している症例から学ぶことが多くありました。研修後にこれらの症例の病態、証を考え直し考察を深めたいと思います。
 今回の研修を通して今後の外来診療に向けてするべきことが明確化しました。日々研鑽を重ね、さらに将来的には整形外科や手外科領域で漢方を使った有効な治療が行えるよう尽力できればと思います。
受講者
私立大学病院 産婦人科            E・Nさん
研修先
富山大学附属病院
和漢診療科
コース・期間
「2~3日コース」
2日間
研修志望動機・学修内容・成果/感想・今後の取組み・これからの希望者へのアドバイスなど
私は大学医学部附属病院で漢方指導医の資格をもっているが、指導経験に乏しく指導に自信を持てず、一度自分自身が漢方教育を学びたい思いがあった。又、多くの他科の医師より大学病院内での東洋医学会認定の漢方専門医資格取得の場の構築を希望され大学病院での漢方外来開設を考えていた。そうした折りに、富山大学附属病院和漢診療科貝沼茂三郎先生より医大生向けの漢方アクティブラーニングプラグラム参加の案内をいただき応募した。貝沼先生を招聘し当大学の医大生8名が参加し、症例につき対面でディスカッションするプログラムであった。最近のコロナ禍の影響で授業形態もWeb視聴が多かった学生達にとって対面型のプラグラムは大いに反響があり大変好評であったため自分自身も富山大学附属病院和漢診療科での実際の学生教育の現場に参加を希望し許可をいただいた。「富山大学医学部卒業の先生方はどの診療科でも漢方医学的な病態を考えて漢方処方ができる」というコンセプトを掲げてポリクリ実習をされており短期間に富山大学医大生が実際に漢方的な診断する様子を目の当たりにし感銘を受けた。一貫して病名投与でなく漢方的概念に基づく診断がなされ日本のトップクラスの漢方講座の一旦を見せていただき大変刺激になった。引き続き富山大学附属病院和漢診療科の先生方には今後もご指導賜りたいと考えている。医局員の先生方も大変親切で漢方を志す先生にはこれ以上ない最高の施設だと思います。
受講者
国立大学病院 循環器内科
N・Oさん
研修先
飯塚病院 東洋医学センター 漢方診療科
コース・期間
「1週間コース」
5日間
研修志望動機・学修内容・成果/感想・今後の取組み・これからの希望者へのアドバイスなど
私は大学医学部附属病院で漢方外来に携わっているものです.これまで大学病院・関連病院や一般クリニックで専門の循環器内科医として診療してきましたが,社会の高齢化が進む中,多数の併存疾患を有する患者のニーズは広範囲で,臓器別診療科のアプローチでは十分対応しきれない愁訴が非常に多いことにジレンマを感じ漢方を学ぶに至りました.また,本年より大学において講義を担当することとなり,学生教育に関わる立場上,漢方医学の正しい知識と技術を学ぶ必要性が生じました.
千葉古方派の本流の一つである飯塚病院漢方診療科は,古典に基づく理論と豊富な臨床実績により研修医から若手医師にも注目され,全国から研修希望が絶えない施設です.私自身のレベルアップと指導方法を学ぶには最適の施設と考え,令和5年10月23日〜27日研修を受け入れていただきました.事前に多数のテーマの中から希望の6〜7項目を選択し,研修期間中のレクチャーを組んでいただいたことにより研修はより充実したものになりました.研修内容は以下のとおりです.
1)抄読会「類聚方広義解説」藤平健,毎日午前8時5分〜8時25分
  勉強会「症候による漢方治療の実際」,火曜日午後5時〜
2)午前〜各医師の外来陪席
3)午後〜レクチャー1日2コマ
4)病棟回診〜月曜日,木曜日午後
5)生薬勉強会〜月1回木曜日18時〜
6)和漢料理教室〜年数回,患者数名とともに参加
短期間ではありましたが,濃厚な研修カリキュラムを通じて書籍や講演会では得られない多くのことを学びました.四診の詳細について,特に腹診・脈診の丁寧なフィードバックを受けました.また,時期的に特に冷えの影響を重視した問診や診察,様々な愁訴や患者全体から受ける印象から方剤を絞ったり加味したりする過程が学べました.根底にある先生方の博識と漢方への熱意,患者に寄り添う姿勢に感銘を受けました.
今後は,私の所属病院や関連病院で漢方診療の指導に努め,地域の漢方医療の充実に微力ながら関わりたいと思います.飯塚病院漢方診療科は,西洋医学的アプローチの限界を感じたり,病名漢方から一歩抜け出し複雑な病態に取り組みたい先生,専門医を目指す先生にとって素晴らしい研修環境であると思います.
受講者
私立大学病院 消化器内科
Y・Nさん
研修先
東京女子医科大学附属
東洋医学研究所
コース・期間
「1週間コース」
6日間
研修志望動機・学修内容・成果/感想・今後の取組み・これからの希望者へのアドバイスなど
在宅高齢者に対して訪問診療を行う際に、西洋医学だけの治療では改善しない症例や、漢方治療が奏功した症例を経験したために研修を希望しました。研修では総論的な内容に加えて各科で頻用する処方の講義や生薬の実習をして頂き、系統的に勉強することができました。また、古典の抄読会や困難症例の検討、文献を拝読させていただき、東洋医学における研究の視点や考え方に触れることができたことも良い経験でした。漢方外来にも陪席させていただき、実際の先生方の診察の流れ、証の診断や処方した方剤を選択する根拠を学ばせていただきました。これまでは全て医学書で読んだのみの知識で疾患に対して方剤を処方しているだけでありましたが、先生方の診察を拝見することで東洋医学や方剤との距離感が少し縮まったような感覚を受けました。さらに実際に症状が良くなった患者様のお話も聞くことができ、明日から自分も実践したいという気持ちが強くなりました。今後は訪問診療においても四診を行い、証を診断して個人に合った漢方を処方していきたいと考えています。
受講者
一般病院 精神科
N・Fさん
研修先
三重大学附属病院
漢方医学センター
コース・期間
「2~3日コース」
2日間
研修志望動機・学修内容・成果/感想・今後の取組み・これからの希望者へのアドバイスなど
【研修志望動機】独学で学んだ漢方医学を精神科臨床で用いているが、功を奏さない場面もあり、又初期研修医に漢方薬のレクチャーを担当しているが、教育内容の貧困さにも悩んでおり、この二つの問題点を少しでも解消すべく比較的近い三重大学漢方医学センターでの研修を希望しました。
【学習内容】中医学の気血水の理論とその理論に基づく漢方薬の使用法、漢方医学の診察場面(触診、舌診等)、漢方薬を構成する生薬の解説等
【成果/感想】中医学の基礎理論や生薬の徹底した理解に裏打ちされた高村先生の漢方医学診療をこの2日間目の当たりにして、漢方医学の奥深さを味わう事ができて大変有意義であったと共に、私の漢方医学の知識の浅さ及びそれに満足していた私自身の愚かさに大変忸怩たる思いに駆られました。
【今後の取り組み】独学になりますが、高村先生や安井先生の著書で特に中医学分野の基礎や生薬を勉強し直して、徐々に私の今後の精神科診療及び初期研修医への漢方医学教育に活かそうと考えております。この2日間の研修を快く引き受けて頂いた高村先生には感謝の念で一杯です。【これからの希望者へのアドバイス】独学で漢方を学ばれている先生は、三重大学病院漢方医学センターで中医学の理論を学ばれると非常に奥深い漢方診療ができると思います。
受講者
私立大学 精神・神経科
S・Aさん
研修先
東京女子医科大学附属
東洋医学研究所
コース・期間
「3ヶ月コース」
41日間
研修志望動機・学修内容・成果/感想・今後の取組み・これからの希望者へのアドバイスなど
初期研修医の時に漢方に関して学んだ経験があり、その際に東洋医学に関してもっと知識を深めたいと考えるようになったためこの度は研修を希望させて頂きました。学習内容としてはクルズスを通して総論から各論に至るまで基本的な東洋医学の考え方を学び、更に外来の陪席につかせて頂きました。3カ月目からは初診患者さんの予診も行わせて頂きました。また鍼灸の見学もさせて頂くことが出来ました。研修当初は正直なところ漢方薬の名前もあやふやなものが多く、基本的な診察に関しての知識もあまり持っていませんでした。しかしながら先生方にとても熱心にご指導頂き、クルズスや外来の陪席を通して実際どのような考え方で、どういった製剤を使用しているのかということに関して勉強させて頂くことが出来ました。2カ月学んだことを生かし、3カ月目からは実際に初診患者さんの予診をさせて頂くことで更に知識を深めることもできたと思います。研修を通して漢方外来を受診されている患者さんは精神科にも通院している方も多く、精神科では心気症として治療をされているような方々も大勢受診していらっしゃるということがわかりました。そのため今まで西洋薬のみで治療を行っていた患者さんの中でも漢方薬を使用することでより良い治療ができる方もいらっしゃるのではないかと感じました。今後は3カ月で学んだことを臨床の場でも活かして参りたいと思っております。
受講者
公立病院 産科婦人科 科長
M・Iさん
研修先
福島県立医科大学
会津医療センター附属病院
コース・期間
「曜日限定コース」
21日間
研修志望動機・学修内容・成果/感想・今後の取組み・これからの希望者へのアドバイスなど
○研修志望動機:産婦人科の臨床を経験していくうちに西洋医学では診断、治療不可能な症例を経験することが多くなった。患者本人は明らかに”具合が悪い”が検査値では異常が出ない、そのような症例を何とかしたいと思い、漢方医学研修を開始した。○学習内容:外来診療に毎週1回陪席し、診察実技を実習するとともに、証の診断根拠や処方された方剤の理解、類縁方剤との鑑別などを実際の症例から学修している。○成果/感想:診断技能が徐々に身につき、また方剤の選択根拠などの理解も進んでいる。産婦人科の実臨床で漢方学的な診察(四診)で証を決定し処方することが増えてきつつあり、それによって治療可能な症例も経験するようになってきた。○今後の取り組み:診断技術の向上や証を実践からさらに学び、治療選択への理解を深めたい。学会での発表、レポート作成も挑戦したい。方剤の構成生薬の理解を深め、鑑別診断から的確な処方を学びたい。○これからの希望者へのアドバイス:どの科でも患者と向き合えば向き合うほど、教科書的には診断がつかないような、また他科にまたがる症状を経験するのではないでしょうか。それを”全人的に”診断→治療していくのが漢方医学の魅力と感じています。自分の視野や守備範囲を広げ、さらに良い医療を提供できるように、ぜひ一歩を踏み出してください。
受講者
国立病院 産婦人科
A・Kさん
研修先
東京女子医科大学附属
東洋医学研究所
コース・期間
「週1日コース」
50日間
研修志望動機・学修内容・成果/感想・今後の取組み・これからの希望者へのアドバイスなど
研修志望動機;臨床診療において西洋医学では対応出来ない病状・症状を経験することがあります。その場合でも東洋医学的には経験・治療例があることがあり、的確な診断処方を行える様学び直したいと思ったのが研修を始めたきっかけです。学習内容;実際の外来陪席、初診時の予診や弁証、方剤決定や講義実習を通して漢方処方の基礎を学んでいます。成果/感想;診療陪席、多くの先生方からの指導下に実際症例から診察法・処方を学び、また古典や教科書の見方、考え方を多角的に学ぶ事が出来ています。今後はこれらの知見を通常診療に取り入れながら、さらに知識を広げ深めていきたいと思っています。
受講者
私立大学病院 麻酔科 助教
F・Yさん
研修先
東京女子医科大学附属
東洋医学研究所
コース・期間
「2日コース」
2日間
研修志望動機・学修内容・成果/感想・今後の取組み・これからの希望者へのアドバイスなど
 麻酔科専門研修プログラムの一環でペインクリニック部門に従事する機会がありました。ペインクリニック診療では神経ブロックや鎮痛薬だけでなく、痛みの治療に漢方薬を用いることを知りました。また痛みの経過が長期に及ぶ症例では、不安や不眠、喉のつかえ感といった様々な身体症状が現れることがあり、これらにも漢方薬の併用が有効ということに大変興味を持ち、短期実地研修に応募しました 。外来陪席では再診だけでなく、初診における漢方診療に特徴的な診察を学ぶことができました。これは主に手術麻酔に従事する麻酔科医にとって、漢方入門書を読むだけでは得られない貴重な経験となりました。生薬実習では漢方薬の剤形の違いに始まり、薬研を用いた本格的な調剤体験、さらに各メーカー毎のエキス製剤の違いについて学びました。また輪読会では、テーマが偶然にも上下肢の疼痛についてで、ペインクリニックにも通じる大変有意義な内容でした。今後はペインクリニック専門医を取得し、当院でのペインクリニック外来における漢方診療の有用性について検討することが当面の目標です。その後は漢方診療の専門性を高めるため、内外を問わず長期の研修プログラムへ参加する予定です。
受講者
私立大学 医学部 救急科 助教
U・Nさん
研修先
東京女子医科大学附属
東洋医学研究所
コース・期間
「週1回コース」
36日間
研修志望動機・学修内容・成果/感想・今後の取組み・これからの希望者へのアドバイスなど
私は学生の頃を振り返ると、薬剤師の父や友人の影響で漢方医学に興味はあったと思います。ただ自分の大学の研修コース等身近には漢方を専門深くで学ぶ環境は見当たらず、漢方医を目指すという発想自体ありませんでした。その後、これまで漢方の古典や成書での知識を自分なりに学んできましたが、自分の所属する科が救急科であったこともあり、臨床で処方する経験が不足していると感じ東京女子医大での研修に参加を決めました。外来の陪席や症例検討・勉強会を通して、漢方の症例の幅広さを目にすることができ、いつも驚きの連続でした。また学生実習にも参加させていただき実際に生薬を手に取り、昔ながらの方法で煎じてみることが出来るなどその成り立ちや楽しさの一端を垣間見ることのできる内容で、授業を当たり前に受けられている学生達がうらやましく感じる内容でした。研修を通して外来での多岐にわたる症状の患者を実際に診療し、処方に対する反応などや注意点に関しても実臨床で実感することができたと思います。また自分や家族の健康管理に関しても漢方の知識はとても有用で、子育て中の身として本当に学んでいて良かったと思えます。今後は勤務の内容が老年医療に深く携わる予定であるため、さらなる症例の積み重ねと研鑽を積んで、高齢者の健康増進や体力の維持、現代医療ではカバーできない種々の症状に対して、効果が出せるよう努力を続けたいと考えます。
受講者
臨床研修病院 小児科 医長
M・Tさん
研修先
千葉大学医学部
附属病院
コース・期間
「週1日コース」
19日間
研修志望動機・学修内容・成果/感想・今後の取組み・これからの希望者へのアドバイスなど
○研修志望動機:産婦人科の臨床を経験していくうちに西洋医学では診断、治療不可能な症例を経験することが多くなった。患者本人は明らかに”具合が悪い”が検査値では異常が出ない、そのような症例を何とかしたいと思い、漢方医学研修を開始した。○学習内容:外来診療に毎週1回陪席し、診察実技を実習するとともに、証の診断根拠や処方された方剤の理解、類縁方剤との鑑別などを実際の症例から学修している。○成果/感想:診断技能が徐々に身につき、また方剤の選択根拠などの理解も進んでいる。産婦人科の実臨床で漢方学的な診察(四診)で証を決定し処方することが増えてきつつあり、それによって治療可能な症例も経験するようになってきた。○今後の取り組み:診断技術の向上や証を実践からさらに学び、治療選択への理解を深めたい。学会での発表、レポート作成も挑戦したい。方剤の構成生薬の理解を深め、鑑別診断から的確な処方を学びたい。○これからの希望者へのアドバイス:どの科でも患者と向き合えば向き合うほど、教科書的には診断がつかないような、また他科にまたがる症状を経験するのではないでしょうか。それを”全人的に”診断→治療していくのが漢方医学の魅力と感じています。自分の視野や守備範囲を広げ、さらに良い医療を提供できるように、ぜひ一歩を踏み出してください。
受講者
公立大学 医学部 耳鼻科 助教
A・Sさん
研修先
福島県立医科大学
会津医療センター附属病院
コース・期間
「2~3日コース」
3日間
研修志望動機・学修内容・成果/感想・今後の取組み・これからの希望者へのアドバイスなど
 漢方医療を受けた身としてその効果を実感しており、自分の診療に取り入れたく約10年間、講演会や成書を読みながら勉強していましたが、臨床への応用を学ぶために'実地体験を踏まえた見学'を3日間させていただきました。・古典抄読会:朝診療前の30分間、古典を輪読し三潴忠道先生がご自身の体験談も交えて解説してくださいました。抄読会は会津から離れた現在も聴講させていただいております。当初は聞きなじみのない言葉も少しずつ慣れました。・病棟回診・外来見学:腹部診察の体験や三潴先生の腹診手順も間近で見学でき漢方診察の流れを学びました。・調剤:煎じ薬の調剤、漢方薬の服用体験もさせていただきました。味や匂いの違いを実際に体験させていただきました。・鍼灸治療:鍼体験を自他ともに対して行わせてもらい大変貴重でした。・今後:体験させていただいたことを思い出しながら症例に向き合っています。抄読会に今も参加させていただけることは非常にありがたいです。・希望者へのメッセージ:まさに「習うより慣れろ」でした。滞在期間には限りがありますが見学や体験という財産は残ります。また抄読会は場所を問わず参加できるので漢方を学ぶ気持ちが研修後もとぎれません。医師・薬剤師・鍼灸師など他職種で作るチーム医療をされていることにも非常に感銘を受けました。'見学'だけでなく多くの'体験'をさせていただきました。
受講者
国立大学 脳神経外科
S・Kさん
研修先
福島県立医科大学
会津医療センター附属病院
コース・期間
「1週間コース」
5日間
研修志望動機・学修内容・成果/感想・今後の取組み・これからの希望者へのアドバイスなど
毎朝の古典抄読会(傷寒論)に参加し、その後病棟回診へ。入院患者の診察を行い、処方内容を毎日検討。外来陪席時にも指導医とともに実際に患者の診察を行い、四診所見について解説していただく。漢方医学的な考察に基づいた処方内容を知り、そこに各種生薬の分量調整が行われる意図についても説明いただくことで、実臨床でのエキス製剤の相違点を理解することができた。鍼灸治療体験と入院患者への鍼灸治療見学も行い、鍼灸治療による疼痛管理の可能性についても認識することができた。当方が専門とする脳神経外科領域では、病後の四肢のしびれが愁訴となる症例が多く、附子などの温剤を用いて症状緩和に役立てればと思う。また同時に、四診も用いて多面的に病態の改善を図れるように努めたいと思う。
受講者
公立病院 総合診療科
T・Yさん
研修先
広島大学病院
総合内科・総合診療科
漢方診療センター
コース・期間
「2~3日コース」
3日間
研修志望動機・学修内容・成果/感想・今後の取組み・これからの希望者へのアドバイスなど
【志望動機】総合診療科の中での漢方科の在り方や、大学病院での漢方外来の診療の様子などを知りたいと思って見学に伺いました。【学習内容】大学病院の総合診療科外来の見学、大学病院での漢方外来の見学、市中病院での漢方外来を見学など。【感想】大学病院の総合診療科外来に継続的な通院が必要な患者は原因がはっきりせず不定愁訴的な訴えであることが多く、総合診療科医は患者の心理的なケアを中心として患者に寄り添いながら診療の継続性を保っていました。そのような患者の訴えの在り方は、漢方外来を受診する患者に近いものがありました。これらのことから、総合診療科外来も漢方薬の良い適応だと感じました。また、市中病院での漢方外来を初めて見学することができました。これまで複雑化した症例に対する漢方外来の診療場面しか見たことがなかったので、新鮮でした。その病院では筋骨格系由来の疼痛に対して漢方薬が著効する場面を経験することが出来ました。一般的に西洋薬でなかなか疼痛コントロールできずに苦労することが多いため、患者が「良くなりました」と明確に答える場面が印象的でした。【今後の取組】まずはモダン処方だけではなく、中医学的な分析を踏まえた上での漢方薬処方ができるように研鑽したいと感じました。
受講者
私立病院 支持医療科
N・Kさん
研修先
福島県立医科大学
会津医療センター附属病院
コース・期間
「1週間コース」
4日間
研修志望動機・学修内容・成果/感想・今後の取組み・これからの希望者へのアドバイスなど
【研修志望動機】煎じ薬まで用いた漢方の臨床現場を見分するため。
【学修内容】① 病棟回診同行(漢方・鍼灸) ② 外来陪席 ③ 古典勉強会 ④ 生薬調剤
【成果/感想】日頃の学習不足を自覚させられた。特に腹診・脈診は先生と同じ所見が取れず、自分の中のものさしを修正する機会になった。柴胡剤の使い方など、自分にはない処方をみて方剤選択の幅が広がった。毎日地道に古典の勉強を積み重ねていることが日常の診療に生きていることが分かった。附子・烏頭を使っている症例が多かったので、煎じ薬+入院施設があれば治せる患者の範囲が増えると感じた。
【今後の取組み】専門医取得に向けて地道に努力します。
【これからの希望者へのアドバイス】「はじめての漢方診療ノート」(第2版)を熟読する。交通の便が悪いので、車で行くことをお勧めします(冬季は四駆)。私は車で行ったため、空いた時間に芍薬畑の見学に行くなど、時間を有効に使えました。
受講者
国立大学病院 循環器内科
N・Oさん
研修先
千葉大学医学部
附属病院
コース・期間
「3ヶ月コース」
81日間
研修志望動機・学修内容・成果/感想・今後の取組み・これからの希望者へのアドバイスなど
私は循環器内科が専門で,これまで大学病院・関連病院や一般クリニックで診療してきました.社会の高齢化が進む中,多数の併存疾患を有する患者のニーズは広範囲で,中には専門診療科の治療後も自覚症状に苦しむケースは少なくありませんでした.日々の診療の中,漢方薬の可能性に目が向いたのは必然とも言えます.メーカー主催の勉強会は有用でしたが,我流での診療は行き詰まりを見せ,系統だった研修の必要性を痛感しました.初診患者の経過と方剤の選定過程を学ぶには最低3ヶ月間の研修期間が必要であろうと考え,研修期間が柔軟な千葉大学和漢診療科に打診したところ快諾していただきました.日本漢方(古方派)の本流で学びたいとの思いもありました.  研修は,1)毎日朝8時からの抄読会(「皇帝内経」素問,矢数道明著「漢方治療百話」)2)並木先生,平崎先生の外来陪席と初診患者診療,ポリクリ学生指導,3)龍先生・大橋先生の指導による入院患者診療,回診時プレゼンテーション,カンファレンス参加,4)和漢薬煎じ・丸薬作成実習,鍼灸見学,4)漢方研究会や臨床研究への参加等豊富な内容でした.
3ヶ月の研修を通じて書籍や講演会では得られない多くのことを学びました.四診の詳細について丁寧なフィードバックを受けながら習得できました.受診患者のほとんどは専門診療科での治療に満足されておらず,期待を持ち自らあるいは主治医より紹介され,その約8割が当院での和漢診療に満足との調査結果に驚きました.初診患者は早くて数ヶ月で軽快,長いもので数年経過しており,電子カルテの記述を遡ることも勉強になりました.陰陽虚実・寒熱・表裏・気血水・五臓の関係を診療に生かす過程,難治性病態に対する柔軟な和漢診療学的視点の転換,臨床経過に応じた証の再評価と随証治療の重要性を学びました.現在,多くの診療科で漢方治療が普及しつつありますが,治療抵抗例における大学病院和漢診療科の重要性は今後益々増していくものと考えられます.また,生活指導(食事やストレス解消)を重視すること,長い経過と精神的ストレスを有する患者に対する各先生に共通する診療姿勢にも感銘を受けました.
全期間を通して研修に集中できるよう医局全体に温かくサポートしていただきました.3ヶ月間日本漢方のトップランナーに囲まれ,疑問をすぐに解消できる環境に身を置かせていただいたことはこの上ない喜びです.今後は,私の所属病院や関連病院で和漢診療の適用に努め,地域の漢方医療の充実に微力ながら関わりたいと思います.西洋医学的アプローチの限界を感じたり,病名漢方から一歩抜け出し複雑な病態に取り組みたい先生にとって素晴らしい研修環境であると思います.
受講者
国立病院 救急医療部
H・Kさん
研修先
広島大学病院
漢方診療センター
コース・期間
「2~3日コース」
2日間
研修志望動機・学修内容・成果/感想・今後の取組み・これからの希望者へのアドバイスなど
漢方医学を医学部2年生から学んでおり、現在は総合診療専攻医の立場で日々、患者さんに必要があれば漢方薬を処方している立場である。今後の漢方医学の発展のためにも、漢方教育や漢方研究は必要不可欠であると考える。今回は将来的に漢方の臨床研究(教育)を実働していくためにどのような進路を歩んでいけば良いか見極めていくために研修を志望した。実際に、広島大学公衆衛生大学院や医学系博士課程に関わる医師と面談をし、御影雅幸先生の「大黄・麻黄・人参」の関するご講演を受けて、広島大学医学専門プログラム(博士課程)に進学して、漢方の研究を行っていくための具体的なビジョンが見えてきたのが大きな成果である。これからは実際の進学の準備を進めていき、更に来年度からの漢方専門医取得のためにも更に精進を続けていきたい。
受講者
公立病院 内科
M・Mさん
研修先
福島県立医科大学
会津医療センター附属病院
コース・期間
「2~3日コース」
2日間
研修志望動機・学修内容・成果/感想・今後の取組み・これからの希望者へのアドバイスなど
研修志望動機は、漢方内科、外科の両科がある施設での漢方内科診療に興味があり、希望をしました。
学修内容は、漢方内科・外科の外来・病棟回診での診察、処方、処置の仕方や薬局での湯液作成の仕方に触れることができました。漢方内科・外科、それぞれの外来・病棟回診を見学させて頂き、外来患者と病棟患者の病状の違いを直にみることができました。そこで、各々の患者に対して異なる処方、処置をしていることを知り、特に病棟患者の処方(湯液)の仕方に、関心を持ちました。また、薬局見学では、今まで想像の域だった湯液作りを実際に見学でき、かつ、普段自分が服用している八味地黄丸の実物を見ることができ、大変興味深かったです。
受講者
一般病院 小児外科
S・Eさん
研修先
千葉大学医学部
附属病院
コース・期間
「週1回コース」
49日間
研修志望動機・学修内容・成果/感想・今後の取組み・これからの希望者へのアドバイスなど
自分は、これまで20年弱、主に小児外科の診療に従事して参りました。手術により短期的に患者様が元気になる姿をみることは大いにやりがいがありましたが、実際には、手術後にも愁訴が続いていたり、また、必ずしも手術を必要としない患者様も少なくありません。日々の診療の中で、そういった患者様への治療の次の一手として、漢方薬治療が劇的に効を奏するといった経験があり、漢方に興味を持つきっかけとなりました。しかしながら、処方内容は、術後イレウスに大建中湯、胃食道逆流に六君子湯といったような、病名ありきの通り一遍のものが多く、もどかしさと、独学による限界を感じていました。漢方医学の基礎を身につけ、系統的に診療することが出来るようになれば、診療の幅が広がり、患者様のQOL改善につなげられるのではないか、との思いがあり、今回研修に応募させて頂きました。研修は週に1回、1年にわたり、外来への陪席と指導医のもとでの実際の診察、勉強会への参加、学会発表などを経験させて頂きました。並木教授をはじめ、和漢診療科の先生方には、柔軟に研修体制を整えて頂けたことに大変感謝しております。東洋医学の考え方、診察の流れ、証の決定などは、これまで自身が学んできた西洋医学とは根本的に異なっており、大変興味深いものです。漢方医学の歴史が、実に2000年も前の中国に遡り、紆余曲折を経て日本独自の進化を遂げて現在に至るという歴史もまた壮大で、先人達の叡智と、大変な忍耐と苦労があったであろう事にも感銘を受けました。今後も漢方の修練を積み、西洋医学での経験や知識と組み合わせながら、幅広い分野の診療に生かして行けたらと考えております。
受講者
総合病院 精神科/心療内科
I・Kさん
研修先
福島県立医科大学
会津医療センター附属病院
コース・期間
「3か月間コース」
62日間
研修志望動機・学修内容・成果/感想・今後の取組み・これからの希望者へのアドバイスなど
漢方医学に必要な身体診察の技術を身に付けることを主目的に研修を申し込みました。腹診や脈診等の技術を独学で身につけることは難しかったのですが、指導医の診察に陪席することで、実際の診察を五感で学びとることができ、更には実際に触診をしながら言葉による的確なコメントを戴くことを通じて、漢方学的な評価の基準を自身の内に形成することができました。また会津医療センターでは病棟診療を行っていることから、日々の回診を通じて証の細やかな変化が起きていることを感じ取ることができましたが、病名診療とは異なる、証に従った治療の必要性とその効能を目の当たりにするとともに、西洋医学と東洋医学の双方がアクセス可能であることの大きな有用性を感じた次第です。
今後は研修を通じて学んだことを自身の診療を通じて患者様に還元していくことはもちろんですが、漢方治療の有効性を周囲の医療者とも共有することで身近なところから漢方治療の裾野を拡げることに努めたいと思いますし、更にはこの度御指導を下さった諸先輩方のように学会発表や論文を通じて発信することもできるようになれればと考えています。
会津医療センターの漢方講座は有床診療を行う数少ない漢方診療部門であり、さらには鍼灸部門をも併設しています。高度な漢方診療の専門性を有する一方で地域医療としての需要にも応え、西洋医学への造詣を背景に持ちながら西洋医学と協働して患者様にとって最善の医療を提供するという本院での日常臨床を通じて、私たちは現代における漢方診療について多くの学びを得ることができるはずです。

体験記募集

これから研修を希望される方のために、漢方医学実地研修の「体験記」を募集いたします。財団ホームページに随時掲示していきますので「体験記」Excelに記入いただき財団まで送信願います。

研修体験記