研修志望動機・学修内容・成果/感想・今後の取組み・これからの希望者へのアドバイスなど
【研修志望動機】私の所属する大学には漢方専門の講座が無く、教育体制もが未整備の状況です。卒前教育から臨床実習、さらには卒後研修まで一貫した漢方医学教育がどのように行われているのかを拝見し、今後の教育設計の参考とすべく研修に参加しました。
【学修内容】午前は古典の輪読、病棟回診・外来陪席、午後は症例検討会や講義と、非常に多彩なプログラムでした。輪読会では『皇漢医学』を用い、学習内容を踏まえた問いかけと、明快な解説によって、漢方医学の理解が自然に深まるよう工夫されていました。病棟回診では研修医や学生を交えた問診と診察が行われ、治療効果の評価や処方薬の調整が議論されておりました。外来では、研修医・学生が患者さんの舌診・脈診・腹診を行い所見を述べた後、貝沼先生の診察・即時フィードバックを行うスタイルが確立されており、繰り返しの実践と省察を通じた学習の重要性を再認識しました。特に、学生が初診患者の問診・所見・漢方的評価・カルテ記載まで一貫して行う場面で、Mini-CEXを用いた評価が行われており、漢方診療における臨床推論が自然に身についている様子に感銘を受けました。
症例検討会では、陰陽虚実・気血水・六病位といった基本的概念に基づく病態推論が重視され、最適解でない意見にも丁寧なフィードバックがなされており、実践的な思考プロセスの教育として非常に有用であると感じました。
また、民族薬物資料館も見学させていただき、実際に生薬に触れ、味わうなど、五感を通じた大変貴重な学びの機会となりました。
【成果/感想】「どの診療科に進んでも漢方医学的な病態を考えて漢方処方ができる」という理念のもとに、漢方医学的病態推論のプロセスを重視した教育がなされておりました。学生・研修医に対する丁寧で肯定的なフィードバック、また貝沼先生をはじめ講座や院内のスタッフの方々の和やかな雰囲気は、安心して学べる学習環境の良い例と感じました。教育研修としてのみならず、私自身の臨床のスキル向上にもつながり、極めて有意義な研修でした。
【今後の取組】本学には専門的な漢方診療・教育体制が不十分なため、まずは漢方を実践する診療科や医師との連携を図り、臨床実習や研修の中に漢方医学的診察や処方解説を取り入れる、症例検討会を試行する等、小規模でも漢方診療に触れられる機会を創出していきたいと考えます。今回の研修で得た知見を活かし、学生や若手医師が漢方医学的な病態推論と処方選択に主体的に取り組めるような教育デザインを検討してまいります。