この度、2024年6月22日に開催されました臨時理事会において、理事長を拝命致しました松村明です。前任の伴信太郎理事長におかれましては、2020年6月より4年間にわたり理事長として、当財団の活動にご尽力頂きました。この間、新型コロナウイルス感染症のパンデミックの状況下、当財団の活動も制限される中で漢方e-learningの開始や漢方医学教育シンポジウムのWeb開催やオンデマンド配信など時宜にかなった取り組みも展開され、漢方医学教育の継続的な普及活動に取り組まれたことに、改めて感謝申し上げます。
さて当財団は、日本の伝統医療である漢方医学の普及・定着・発展を奨励し、医学教育関連事業を通じ日本におけるこれからの「良き医療」を提供できる社会貢献活動に寄与することを目的に、2016年12月8日に法務局の登記認証を受け設立されました。
漢方医学の教育については、2001年3月に文部科学省から公表された「医学教育モデル・コア・カリキュラム」の中で初めて『和漢薬を概説できる』という記載がなされ、2023年の令和4年度改訂版では『漢方医学の特徴、主な和漢薬(漢方薬)の適応、薬理作用について理解している』と、より具体的に記載されるに至っております。
現在、医学教育モデル・コア・カリキュラムに即して、すべての大学医学部で漢方医学教育が実施されております。さらに、ほぼ全大学で4コマ以上の講義を必修とし、漢方臨床実習や学内での漢方教育・診療に携わる教員育成を行う大学も増えて参りましたが、各大学間における学修内容や到達目標など漢方医学教育の標準化に向けては、まだ多くの課題があると思われます。今後は特に、漢方医学の臨床実践能力を涵養するための「臨床実習」の充実が重要になってくると思われます。
財団では「漢方医学教育研究助成事業」、研究助成の成果発表の場である「漢方医学教育シンポジウム」の開催、漢方医学教育に携わる医師のための「漢方短期実地研修支援事業」、学生時代から漢方に親しんでもらうための「医学生漢方サークル支援事業」、漢方を学ぶための「教材・e-learning推進事業」、漢方医学教育に関する医学教育の推進団体・組織へ支援する「漢方医学教育推進事業(イベント支援)」などの事業を進めており、卒前・卒後のシームレスな医師養成を行っていくことを目指しています。
また、医学・歯学・薬学教育の中でも漢方医学が重視されており、これらの分野との多職種連携による取り組みを行っていくことにより「漢方医療」の裾野がさらに広がることと期待されます。
私は理事長として、「漢方医療」の更なる普及のために最善の努力を尽くし貢献していく所存です。今後とも皆様には更なるご支援とご協力を頂けるようお願い申し上げます。
2024年7月
日本漢方医学教育振興財団
理事長 松村 明