リレーエッセイ

私と漢方との出会い

私と漢方との出会い

リレーエッセイ | 第31号投稿記事(2024年9月)  小宮 ひろみ 先生

私と漢方との出会い

小宮 ひろみ

国立成育医療研究センター
女性の健康ナショナルセンター設立準備室理事長特任補佐

 私の漢方との出会いは、性差医療・女性外来との出会いでもあります。2004年福島県立医科大学附属病院に女性外来を立ち上げることになりました。受診患者さんの多岐にわたる訴えに対して、西洋医学的アプローチだけでは太刀打ちできないという天野惠子先生(現静風荘病院 特別顧問)のご助言もあり、「女性医師のための漢方スキルアップセミナー」や漢方セミナーに積極的に参加し、漢方を勉強しておりました。その際に故木下優子先生(当時 日本大学医学部附属板橋病院ご勤務)にご指導いただき、漢方の絶大な効果を自ら体験することになります。当時、冷えや体調不良で青ざめていた顔色をしていた私は、木下先生に「先生は当帰芍薬散と養命酒かな」といわれ、当帰芍薬散を内服し、改善いたしました。漢方の勉強は継続しておりましたが、そうこうしている間に、福島県立医科大学会津医療センター漢方医学講座に三潴忠道先生が教授として着任されました。漢方をしっかり基礎から勉強しようと三潴先生の外来に陪席し、多くのことを学びました。その後、会津医療センター漢方内科、2014年からは福島県立医科大学附属病院漢方内科の診療も担当してまいりました。大学病院は、三潴先生のご指導のもと専門医をとられた先生方にご支援いただき運営してきた次第です(2024年3月まで)。
 そのような中、本年4月国立成育医療研究センター内の女性の健康ナショナルセンター(仮称)の設立準備室長、理事長特任補佐を拝命いたしました。女性の健康ナショナルセンター(仮称)は女性特有の疾患のみならず、男女とも罹患する疾患や病態についてライフコースと性差を意識して女性の健康を推進するために設立されます。データセンターの設置、ライフコースと性差を意識した基礎研究と臨床研究、情報発信と人材育成、女性の心と体の支援、さらに臨床機能を持たせます。女性の健康を包括的かつ総合的に推進する日本で初めてのセンターと言えるかと思います。
 最後に、女性の健康に漢方は重要な役割を果たすことを実感しております。これからも漢方薬の重要性を発信し、女性が元気に生涯を過ごすことができるよう努力してまいりたいと思います。これまで漢方治療や性差医療をご指導いただいた天野惠子先生、三潴忠道先生、また故木下優子先生、ご支援いただいた先生方、スタッフの皆さんに心から感謝を申し上げ、私のリレーエッセイを終了したいと思います。このような執筆の機会をいただき、ありがとうございました。

芍薬の根の堀り上げ作業
(会津医療センター三潴忠道先生、田原英一先生と 2023年10月南会津只見町にて)